「中国で働いてみたい!」と思ったとき、最初に立ちはだかるのがビザや手続きの壁です。特に初めての海外勤務となると、何から始めればいいのか、どこに問い合わせればいいのか、わからないことだらけ。手続きは煩雑で、書類も多く、不安になる方も多いかもしれません。
でもご安心ください。本記事では、中国で合法的に働くために必要な就労ビザ(Zビザ)を中心に、準備から入国後の手続きまでをやさしく丁寧にご案内します。実際の現場でよくある質問やトラブルについても触れながら、実用的な知識をお届けします。
就労ビザって何?中国で働くための基本ルール
中国で働くためには、外国人である日本人は「就労ビザ(Zビザ)」を取得する必要があります。これは、日本の「就労資格付きの在留ビザ」に相当するもので、合法的に中国企業で雇用され、給与を受け取るための前提となる重要な資格です。
就労ビザの取得には、まず「外国人就業許可通知(外国人工作许可证通知)」という書類が必要で、これは受け入れ企業が中国の労働局に申請します。その後、日本国内の中国領事館でZビザを申請し、正式なビザを取得して入国する、という流れになります。
ビザは「カテゴリA(ハイレベル人材)」「カテゴリB(専門人材)」「カテゴリC(一般人材)」と区分され、学歴・職歴・年齢などによって分類されます。一般的な日本人就職者は、カテゴリBに該当することが多いです。ポイント制で評価されるため、語学力や職歴によっては上位カテゴリになることも可能です。
まず何を準備する?必要書類と取得の流れ
まず中国側企業が行うのは「外国人就業許可証」の申請です。その際、求職者側が提供すべき主な書類には以下のものがあります:
- パスポートのスキャンコピー(残存期間6か月以上)
- 最終学歴の卒業証明書(中国語または英語訳付き、公証あり)
- 無犯罪証明書(日本国内で発行、公証・認証が必要)
- 証明写真(規定サイズ)
- 履歴書(英語または中国語)
- 健康診断書(現地で取得する場合もあり)
これらを整えたうえで、企業が中国側で申請を行い、1〜2週間で「外国人就業許可通知」が発行されます。この通知をもとに、申請者は日本国内の中国領事館(東京・大阪など)でZビザの申請を行います。
Zビザの取得は早ければ5営業日程度で完了しますが、書類の不備や混雑状況によっては遅れることもあります。特に卒業証明書や無犯罪証明書の取得に時間がかかるため、早めの準備がカギです。
無犯罪証明書と卒業証明書の取得方法ガイド
無犯罪証明書は、住民票のある都道府県の警察本部で申請します。パスポートや本人確認書類が必要で、手続きから発行までには通常2〜3週間程度かかります。さらに、中国でのビザ申請に使用するためには、「中国語翻訳」および「公証・領事認証」が必要です。
卒業証明書についても、発行元大学に申請し、中国語(または英語)に翻訳して公証を取る必要があります。日本の大学の公的書類を中国で使用する場合、「アポスティーユ」や「領事認証」が求められることもありますので、外務省や中国大使館のウェブサイトで最新の手順を確認しましょう。
これらの書類は、発行後に改ざんや再印刷ができないため、複数部取得しておくと安心です。特に転職やビザ更新の際にも使うことがあります。
ビザ申請〜入国後の流れ:オフィス訪問と登録手続き
Zビザを取得して中国に入国したら、それで終わりではありません。入国後30日以内に「居留許可(Residence Permit)」への切り替えが必要です。これは実質的に長期滞在・就労の許可証であり、パスポートに貼付されます。
切り替え手続きには、以下のステップが必要です:
- 入国後24時間以内に地元の派出所(警察)で住所登録
- 指定病院で健康診断を受ける(過去の健診証明があれば省略可)
- 雇用先が労働局で就業許可証を取得
- 公安局出入境管理部門で居留許可を申請
この間、パスポートは公安局に預けられるため、旅行などの計画はその後に組むようにしましょう。企業が代行してくれる場合もありますが、本人の同行が求められることもあるため、スケジュールには余裕を持っておきたいところです。
家族帯同・配偶者ビザはどうなる?家族で渡航する場合
配偶者や子どもを帯同して中国に渡航する場合、「S1ビザ(長期家族滞在)」「S2ビザ(短期家族滞在)」というカテゴリーを利用します。これは就労者本人が合法的に滞在していることを前提に、家族が一緒に滞在できるビザです。
S1ビザを取得すると、入国後に家族も「居留許可」への切り替えが必要です。ただし、このビザでは家族は中国国内で就労することはできません。もし家族が現地で働くことを希望する場合は、別途Zビザを取得する必要があります。
家族の帯同には、戸籍謄本や婚姻証明書などの提出が必要となり、それぞれに翻訳・認証が求められます。小さなお子さんがいる家庭では、インターナショナルスクールの情報や現地の医療体制についても事前に調べておくと安心です。
ビザの更新・延長・転職時の注意点とは?
中国で働き続ける限り、ビザの更新は避けられません。通常、居留許可の有効期間は1年で、雇用契約の期間に応じて延長されます。更新の際は、基本的に就業先が手続きを代行してくれますが、必要書類の用意や健康診断の再受診が求められることもあります。
また、途中で転職する場合、前職の「就業許可証」をいったんキャンセルし、新しい職場で再取得する必要があります。この際、ビザの有効期間中であっても更新手続きが発生するため、無職の期間をできるだけ短くすることが重要です。
さらに、ビザの切れ目で一時帰国や再入国が必要になることもあるため、スケジュールには余裕をもって動くのが鉄則です。
よくあるトラブルとその回避法:安心のためのQ&A集
Q1:無犯罪証明書の取得が間に合いません。どうすれば?
→発行までに時間がかかる場合は、企業と相談のうえ、現地での健康診断や他の手続きを先に進められるか確認しましょう。
Q2:中国語が読めず、書類の記入が難しいです。
→企業の担当者やエージェントがサポートしてくれるケースが多いです。不安な場合は、翻訳アプリや信頼できる中国語話者の手助けを得ましょう。
Q3:転職先が決まってからのビザ切り替え、間に合う?
→旧職場の手続きがスムーズであれば問題ありませんが、タイミングがずれると一時出国が必要になることも。できれば新旧職場間の連携を確認しておくと安心です。
おわりに
中国での就職を実現するためには、ビザや各種手続きという「壁」を一つひとつクリアしていく必要があります。しかし、正しい手順と少しの準備さえあれば、ほとんどの問題はスムーズに解決できます。
不安や面倒が多いように感じるかもしれませんが、これを乗り越えることで、中国での新しいキャリアと生活がスタートします。ぜひ一歩ずつ進んでみてください。
次回は、「どんな仕事があるの?人気職種と必要スキル一覧」をテーマにお届けする予定です。リクエストがあれば優先的に対応しますので、お気軽にどうぞ!
